本記事はこのような人におすすめです。
「オウンドメディアのKPIがよくわからない」
「オウンドメディアを運用しているが成果が出ない」
「どれくらいの記事数を公開すればいいのかわからない」
オウンドメディアを運用して、成果をあげるためにはKPIの設定はとても重要です。運用目的に合った適切なKPIを設定することで、自社の最終目標までの進歩状況を把握できるようになります。やみくもにオウンドメディアを運用してくのではなく、適切なKPIを設定し自社のメディアが最終目標に対して、どの段階にあるのかの全体像を把握しながら運用してくようにしましょう。
本記事では、オウンドメディアにおける適切なKPIの設定方法を解説します。
オウンドメディアのKPIとは
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」を意味します。簡単にいうと、最終的な目標(KGI)を達成するために設定する中間目標で、具体的かつ明確な数値で表されます。
オウンドメディアにおけるKPIの代表的な例は以下のとおりです。それぞれの詳しい解説は「」でしています。
- PV
- CV
- UU
- SS数
- 検索順位
- 配信、投稿数
上記のKPIは、オウンドメディアの目標達成度を定量的に評価するための指標であり、オウンドメディアの最終的な目標(KGI)に沿ったKPIを設定するのが適切な流れになっています。
オウンドメディアにおけるKPIの重要性
KPIの設定はオウンドメディアの効果を最大に引き出し、目標達成に向けた戦略を明確にするために非常に重要です。例えば、「月間PV数(ページビュー)」といったKPIを設定するとチーム全体が特定の目標に向かって活動できるようになります。
オウンドメディアは長期的に運営していかなければ結果が出ないため、適切なKPIを設定しなければコンテンツを配信する目的が曖昧になってしまいます。
配信するコンテンツの目的が曖昧になると、オウンドメディアマーケティングの効果が十分に得られず、ただコンテンツを配信するだけの状況になりかねません。
そういった事態を避けるためにも、オウンドメディアを運営していくうえで適切なKPIの設定は非常に重要です。
オウンドメディアの代表的なKPI設定例
ここからは、オウンドメディアにおける代表的なKPI例、以下の6つ詳しく解説していきます。
- PV
- CV
- UU
- SS
- 検索順位
- 配信、投稿数
PV (ページビュー)
「PV」とは、「ウェブサイトのページが閲覧された回数」を示します。これは、オウンドメディアのパフォーマンスを測定するための基本的な指標の一つです。
具体的な効果測定できる項目の例は以下のとおりです。
- トラフィックの評価:WEBサイト全体の訪問者数を把握しサイトの人気度などの評価
- コンテンツの効果測定:どのページが特に多く閲覧されているのか分析し、ユーザーの関心をひくコンテンツを特定できる
PVは重要な指標ですが、それだけではユーザーの質や行動を十分に把握できないため、他のKPIと併せて総合的に分析してく必要があります。
CV(コンバーション)
「CV」とは、「ウェブサイトの訪問者が特定の行動を完了」したことを示す指標です。
オウンドメディアを立ち上げた目的によってユーザーの行動は変わってきますが、CV数はKPIで重要な指標の一つといえます。
サイト訪問者の具体的な行動として以下の例が挙げられます。
- 商品の購入
- 問い合わせフォームの送信
- 会員登録
- 資料請求
- サービスの申し込み
CVを増やすための施策を立案し実行することで、より効果的なオウンドメディアの運営が可能になります。
UU
「UU数」とは、「期間内にサイトを訪問したユーザーの数」を示します。同じ人がサイトに2回訪れてもUU数は1とカウントされます。
具体的に説明すると以下のとおりです。
- PVが多くUU数が少ない→多くのリピーターがサイトを頻繁に訪れている
- UU数が多くPVが少ない→新規訪問者が多いがコンテンツにあまり興味を示さずにすぐに離脱している可能性あり
サイトにアクセスされた数だけでなく、どのくらい多くのユーザーがサイトを訪問しているかという数を追っていきたい場合は、UU数がKPIとなります。
SS
「SS」とはセッション数といわれるもので、「ユーザーがサイトを訪問した回数」を示す指標です。
SSもPVと同じく、オウンドメディアの認知度やユーザーの関心度などを測るために重要な指標といえます。SSとPVの違いとしては、SSはユーザーがウェブサイトを訪問した回数を示し、ページビュー(PV)はユーザーがページを閲覧した回数を示します。
またSS数はUU数とも違い、同じユーザーが再度サイトを訪問してもSS数はカウントされます。
検索順位
「検索順位」は、特定のキーワードで検索エンジンを使用した際に、WEBサイトのページが表示される順位を表します。これはSEOの成果を測定するための重要な指標です。
検索順位が高いほどユーザーは対象のページを見つけられやすくなるため、トラフィックの増加が見込めます。
配信・投稿数
「配信・投稿数」とは、コンテンツの公開頻度や量を評価するための指標です。配信投稿数は、特定の期間内に作成・公開されたブログ記事、ニュース、ビデオ、ソーシャルメディア投稿などの総数を示します。
定期的かつ計画的にコンテンツを配信することで、ユーザーエンゲージメントの向上、SEOの強化、ブランドの認知度向上につながります。
フェーズ別のKPI設定例
オウンドメディアのKPI設定は、フェーズによって適切なKPIを設定することが重要です。各フェーズにおけるオウンドメディアの目的や課題が異なるため、適切なKPIを設定することでその段階に応じた戦略的なアプローチが可能になります。
本章では、オウンドメディアのKPIを以下4つのフェーズに分けて紹介します。
- 立ち上げ期(〜半年)
- 運用初期(半年〜1年)
- 運用中期(1年〜1年半)
- 運用後期(1年半〜)
()内の年数はあくまでも目安です。
立ち上げ期(〜半年)
オウンドメディア立ち上げ期のKPI設定は、「運用体制の確立」が中心です。立ち上げ期の場合、検索エンジンがサイトを認識していないためユーザーがサイトに訪問しずらい状態になっています。そのため、PVやCV、UUなどの具体的な数字をKPIに設定する前に、メディアの運用目的や運用体制の確保、投稿本数などの設定を行います。
安定的なコンテンツの配信をすることが重要なので、メディアの運用メンバーでKGI・KPIを共有し全員が同じ方向性で運用していける体制を整えましょう。
運用初期(半年〜1年)
オウンドメディア運用から半年から1年の時期は、コンテンツの制作数や公開本数をKPIに設定しましょう。オウンドメディア運用初期はコンテンツの数が足りないため、コンテンツの数を増やしていくことが最優先です。コンテンツを充実させることで、サイトの閲覧数や流入数を増やしていけます。
コンテンツを増やしていく上で重要な点は、KGI(最終目標)を達成するために必要な記事を充実させることです。むやみにコンテンツを増やすと効果が出にくくなる可能性があります。
また、立ち上げ期である程度コンテンツ数やサイトの閲覧数、流入数が増えていてる場合はPV数やUU数をKPIに設定しても良いでしょう。
運用中期(1年〜1年半)
オウンドメディア運用から1年から1年半の時期は、以下のKPI設定が適切です。
- PV数(ページビュー)
- UU数(ユニークユーザー)
- SS数(セッション数)
- 検索順位
- CV数(コンバーション)
- 平均滞在時間
- 直帰率
- 回遊率
運用中期では、主にトラフィックの獲得、コンテンツの認知度向上、ユーザーのエンゲージメントを促進することが重要です。自然検索からの流入を増やすために、SEO施策も力を入れましょう。
KPI設定の具体例としては、「初月で5000PVを達成」や「2000セッション達成」などのユーザー行動を意識した数値をKPIに設定します。運用中期はある程度コンテンツが増えていますが、ユーザーがせっかくサイトを訪れてくれても、伝えたい情報に目を通さずに離脱してしまっては効果がありません。なので、ユーザーの平均滞在期間や直帰率、回遊率も重要なKPIです。
運用後期
オウンドメディア運用から1年半から2年の時期は、コンテンツ数がある程度充実し多くの集客を見込めます。しかしCV数に課題を抱えやすいフェーズでもあるので、CV数や目標ページへの到達数をKPIに設定しましょう。
具体的なKPI設定の例は以下の通りです。
- 資料請求
- お問い合わせ
- 商品購入
- 資料ダウンロード
CV数を増やしていくには、CTA(Call To Action)の改善が重要です。CVは売上に直結するものもあるので、ユーザー行動を意識したCTAの改善をしましょう。
オウンドメディアにおけるKPIの設定方法
KPIはやみくもに設定しても思うような効果は得られません。オウンドメディアを運用してどのような成果が欲しいのか考えKPIを設定していく必要があります。
ここからは、オウンドメディアにおけるKPIの設定方法を3つに分けて紹介していきます。
①メディアの運用目的に合わせたKGIを設定する
②KPIツリーを作成する
③正しいKPIかSMARTの法則で確認する
①メディアの運用目的に合わせたKGIを設定する
KGI(Key Goal Indicator)とは、日本語で「重要目標達成指標」と訳され、最終的な目標のことです。KPIを設定するにはKGIを決める必要があり、KGI設定していなけいればメディアの方向性や運用する目的にぶれが生じてきます。
KGIは最終目標なので1つだけ設定し、KGI(最終目標)を達成するためのKPI(中間目標)を設定していきます。
例えば、オウンドメディアの運用目的が事業の売上向上の場合、KGIはリード獲得やブランド認知度の向上などを設定します。明確なKGIを設定することで、KGIから逆算して適切なKPIを設定できます。
またKGIを設定するときは、「サイト訪問者を増やす」や「オンラインストアの売上を向上させる」ではなく、「売上を20%増加させる」や「訪問者を50%」させるなどの具体的な数値目標を設定することが重要です。
②KPIツリーを作成する
KGIを設定した後は、オウンドメディアのKPIツリーを作成します。KPIツリーは、ビジネス目標を達成するための指標を階層的に整理した図表です。これにより、各KPIがどのようにKGIに寄与しているのか可視化できます。
例えば、オウンドメディアのKGIを「売上向上」にした場合のKPIツリーは下記のようになります。
このようにKPIツリーを作成することで、KGIを達成するための施策や数値などの全体像を把握しやすくなります。KPIツリーを作成するときは、作成者だけでなく第三者が見ても理解できるように意識しましょう。
③正しいKPIかSMARTの法則で確認する
SMARTの法則は、設定したKPIが機能しているのかを確認できる法則です。
SMARTの頭文字はそれぞれ以下の5つの要素を表します。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連性のある)
- Time-bound(期限がある)
このように、SMARTの法則に従って目標を設定することで、具体的かつ達成可能な目標を立てやすくなり、組織やチームのパフォーマンスを向上させることができます.
オウンドメディアにおけるKPI設定の成功事例
他社のオウンドメディアの成功事例を参考にし自社に取り入れたい方は多いと思います。ここからはオウンドメディアの成功事例を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
北欧、暮らしの道具店/株式会社クラシコム
「北欧、暮らしの道具店」は、世界中のセレクト商品やオリジナル商品などを取り扱う株式会社クラシコムが運営するオウンドメディアの性質を持つオンラインショップです。トップページは「お買いもの」と「読みもの」のタグに分けられており、それぞれの目的で記事の内容が違っています。
「北欧、暮らしの道具店」のKPIは、以下の2つです。
- 過去に20回以上サイトに訪問した人が純増しているか
- 全体の占有率が、1のリーピーターが45%〜50%で安定しているか
上記2つのKPIから、「北欧、暮らしの道具店」は売上ではなく「リピーター数」と「新規/リピーターの割合」を重視しているのです。そうすることで、リピーターに楽しんでもらえるようなコンテンツ作りが重要になってきます。※1
「北欧、暮らしの道具店」の月間訪問者数、直帰率、平均滞在時間は以下の通りです。
月間訪問者数 | 1.1M |
直帰率 | 57.39% |
平均滞在時間 | 2分33秒 |
※1(出典:https://logmi.jp/business/articles/144902)
経営ハッカー/freee株式会社
「経営ハッカー」は、スモールビジネスをサポートする「freee株式会社」が運営するオウンドメディアです。コンテンツ内容は、経営者や個人事業主に向けた「会計、経理、人事労務、税務、確定申告、給与予算、企業、会社経営」などの情報発信をしています。
「経営ハッカー」のKPIは以下の通りです。
- 「質の高い記事を継続的に発信し続けること」
PVや一般的なメディアが見ている指標はKPIとしてあまり重視せず、上記のKPI「質の高い記事を継続的に発信し続けること」を重視しています。つまりファンを増やすことを意識しているのです。※1
「経営ハッカー」の月間訪問者数、直帰率、平均滞在時間は以下の通りです。
月間訪問者数 | 510.6k |
記事数※2 | 1370本 |
※1(出典:https://www.willgate.co.jp/promonista/interview-keieihacker/)
※2(出典:https://sync-g.co.jp/ownedmedia/business/keieifreee/)
となりのカインズさん/株式会社カインズ
「となりのカインズさん」は、株式会社カインズが運営するオウンドメディアです。「ホームセンターを遊び倒す」をコンセプトに、カインズで取り扱っている日用品や建築資材、アウトドアグッズなど幅広いジャンルの記事を配信しています。
「となりのカインズさん」のKPIは以下の通りです。
- PV数
- 遷移率
- 読了率
PV数や読了率など、基本となるメディアのKPIを追っていることがわかります。上記のようなKPIを設定はしていますが、一番重視しているのは「面白い記事、読者の役に立つ記事を作ること」です。そうすることでいろんな人がメディアに集まり、自然と多くのユーザーに愛されるメディアとなります。※1
「となりのカインズさん」の月間訪問者数、直帰率、平均滞在時間は以下の通りです。
月間訪問者数 | 1.1M |
直帰率 | 57.3% |
平均滞在時間 | 2分33秒 |
※1(出典:https://magazine.cainz.com)
運用目的に合わせたオウンドメディアのKPIを設定しよう
会社によってオウンドメディアを運用する目的が異なるため、それに伴いKPIも変わってきます。オウンドメディアの効果を最大限引き上げるために、自社のKGIに沿ったKPIを設定することが重要です。なんとなくコンテンツを発信してくのではなく、目標を達成するためにはどんなKPIが必要なのかを考え、オウンドメディアを運用していきましょう。
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